カンタベリーから

文学研究でイギリスに大学院留学をしている20代男性の日記です。ポストコロニアル文学・理論、ナショナリズム理論、グローバル化時代のネーション、コスモポリタニズム、現代日本文学、などに関心があります。ですがブログは学問内容とあまり関係ありません。猫好き。料理をよくします。

カンタベリーの好きなカフェ

オーストラリアでスタバが地元のコーヒー文化に勝てずに撤退したというニュースを聞いた。オーストラリアのコーヒー文化がどんなのか知らないけど、カフェはとにかくたくさんあるらしい。アメリカに行ったら郊外にスタバのドライブスルーがあってびっくりした覚えがある。カフェはイギリスも山ほどあり、ロンドンをちょっと歩いただけでその多さを実感する。日本で言うと繁華街のコンビニくらいの確率で店がカフェである。イギリスで最も多いのはCOSTAというチェーンで、日本で言うとたぶんドトールにあたる。本屋の一角とか駅の出入り口とか小さいスペースでも構わず営業している。なんとなく見た目も相応に安っぽい。 

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カンタベリーにも数えきれないくらいあるんだけど、一度行ったときに目の前で商品入荷の作業をどすどすやられてあんまりいい気分じゃなかったので敬遠してしまっている。その次に多いのがスタバで、カンタベリーには2軒ある。日本ではきっとブランド作りとか差異化とかの戦略で店員がやたらさわやかだったりトイレがきれいだったりするが、イギリスのは感覚的にはもうちょっと庶民的で普通である。テーブルなどもとりあえず並べましたけど何か?って感じで並んでいる。 

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あと大きな違いは返却するところが存在しないという点で、これは当初は大いに当惑した。そのまま置いてっちゃっていいんすかどうなんすか、ときょろきょろしたらみんなそのままにして帰っていた。最近読んだ記事によると、テーブルに置き去りにされたカップなどを片付けるのも店員の仕事のひとつであるのだから、それを客がやってしまうのは彼らの仕事を奪うことになり望ましくない、とのことだった。しかしなかなか店員が片付けに来ずカップが散乱したり食べかけのものがそのままになったりしててあまりきれいではないのは何のこっちゃ。ちなみにファストフードでは日本と同様に自分で捨てるのが決まりであって、一度マックでコーヒーをテーブルに置き去りにしたら店員に舌打ちされた。

その次に多いのはNEROである。たぶん日本だとエクセルシオールかな。ここは行ったことない。なんとなくロゴが好きではなく、イタリアンなこだわりとか見せられても別に、という意識が働いている。

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カフェのこと書いている割に僕はコーヒーにこだわりがない。毎日飲むと決めてはいないし、むしろカフェイン取りすぎると身体が落ち着かなくなったり夜眠れなくなったりする。ノンカフェインのほうじ茶があればむしろそちらを注文したい。スタバのナントカカントカふらぺっちーのなんてのも飲まない。あれはほとんど食べものではないだろうか。

おいしいコーヒーを飲めばおいしいと感じるんだけど、それは本当によっぽどおいしい場合である。日本のチェーン店では味の違いなぞ判別できない。神楽坂のキイトス茶房のコーヒーは何か他とは違う気がして、お店の雰囲気と合わせてコーヒーというより珈琲と呼びたくなる感じで、おすすめです。

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お客さんもいろんな面白い人が来るようで、溝口健二を研究するイギリス人大学院生とか、震災直後の日本の自発的助け合いを絶賛する自称左翼の初老アメリカ人とか、翻訳家をやりながら大学でフェミニズムを講じる女性とかに話しかけられたことがある。店長は反米愛国左翼を自認する人で、九条の会のポスターなどが張ってある。祝日の天皇誕生日は絶対に休まずに営業するのだという。

 

それでやっと本題で、チェーンに押されつつもがんばるカンタベリーのインデペンデント系カフェを3つ紹介します。人間の習性で、チェーン店のように見慣れた外観だと入りやすく、だからどんどん広がるんだろうけど、ある程度住んでるとインデペンデントのほうを応援したくなってくる。

Brugate Coffee House

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大聖堂の入り口近くにあるとても小さいカフェ。こぎれいでゆるい感じで、音楽のチョイスがナイスだった。小さい店なのであんまり長居するとじきに気まずい雰囲気が流れる、気がする。でも若い店員もずっと友達としゃべってたりして気にしてないかもしれない。

Brunch

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人通りの一番多いところにある割にだいたい空いている、けどとても雰囲気はとてもナイスな2階建てカフェ。2階のラウンジではラジオが流れてて、なぜかいつもオールディーズをかける番組である。1階で注文すると2階まで届けてくれる。パニーニ食べたらおいしかった。落ち着く色目で店員も二階にはあんまり来ないので長居してしまう。

Brownlee & Ivy

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地下に公衆浴場の遺跡がある本屋Waterstone'sの最上階にある落ち着いたお店。お客の年齢層が明らかに高く、だいたい中年以上の白人である。価格は別に高いわけではないんだけど。本屋とつながってるだけあって、本とか新聞読んでる人が多い。パソコン出してカタカタしてても構わない感じなので(どこの店でも構わないけど)、物書きや論文読みしに行くようになった。大学の図書館よりも静かで落ち着く。

 

人口密度は東京よりずっと低いので、どのお店も余裕のある造りになってます。どこもWi-Fiはちゃんとあって、そこは日本のカフェも追随していただけるとありがたい。