カンタベリーから

文学研究でイギリスに大学院留学をしている20代男性の日記です。ポストコロニアル文学・理論、ナショナリズム理論、グローバル化時代のネーション、コスモポリタニズム、現代日本文学、などに関心があります。ですがブログは学問内容とあまり関係ありません。猫好き。料理をよくします。

kawaii

こないだ日本に戻ったとき吉祥寺に行ったら、kawaiiファッションの白人女性の集団がいてびっくりした。参考にイメージをあげるとこんな感じ。

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http://www.rokkyuu.com/fashion/hyper-japan-fashion-show-2/より転載)

 

10年前から吉祥寺を日常的にうろうろしているけど、kawaiiファッションの白人女性を見たのは初めてだった。原宿とか行くとビジュアル系やギャル男系などいろんな服来た人がいて外国からの観光客もたくさんいて雰囲気がカオスなのは前からだけど、本当に吉祥寺では初めて。三鷹の森ジブリ美術館ができたのもあって、たぶん何かのガイドブックに東京郊外の観光スポットとして吉祥寺が載ったんだろうと思う。渋谷から電車で一本だし、これから外国からの観光客がどんどん増えるだろうし、観光客の入りやすいような店も増えてくだろう。3年前くらいにホープ軒でいつも通り中華そば食べてたら、あの日本人男性ばかりのマッチョな雰囲気の店で、となりに老年の白人女性が座って身振りで店員とコミュニケーションしてて、そのときもちょっと驚いた。

 

それでイギリス戻ってきて、先週ロンドンに髪切りにいった。Picaddilly CircusからTottennam Court Roadまで歩こうと思ってごちゃごちゃした中華街を抜けてたら、そこにもkawaiiファッションの白人女性たちがいた。しかも集団は一つじゃなくていっぱいいる。何してるわけでもなさそうだけど、レストランを物色してるような感じ。kawaiiファッションでロンドンの中華街と吉祥寺がつながったような気がして感動してたら、この動画を思い出した。


Avril Lavigne - Hello Kitty - YouTube

初めて見たときは最初の5秒で耐えきれず消してしまった。5回ぐらい試みた末に心の準備が出来て観れるようになった。今あらためて観るとやはり数回は目を背けないと観れない。

 

Hello Kittyはイギリスでもよく見かける。あのキャラクターの大きな特徴は表情が無いことだ。笑ってはいないが悲しい顔もしていない。だから持ち主はどんな感情のときでも意識を投影して親密さを感じることが出来る。そういう解説をむかしどっかで読んだ。同じくサンリオのキャラクターである「けろけろけろっぴ」の相対的劣勢は、その表情に大きな原因があるのではないか。

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この動画についてまともなことを言うと、これは日本人女性の群れを無表情なHello Kittyになぞらえて脱人間化=商品化して、かつ白人の有名なアイドルを中心に置くことで白人が消費しやすい対象にする現代版オリエンタリズムである。ラストサムライとか47 Roninはサムライの魂みたいなものを実体化して商品化してるが、現代の日本人女性も同様に商品化されるに至った。

 

で、結局実感したのはkawaii系のファッションや身振りとかその文化全体というのはけっこうグローバルに市場規模があって、アヴリル・ラヴィーンがこういう曲つくってわざわざ日本来てPV作るってことは、それだけ売れて儲かる見込みがたってるはず。もしくは、邪推にすぎないが、クールジャパン政策を進める日本政府からお金が出たかもしれない。